データで見るリーグワン12チーム比較 アタック編

どうもスシ丸です。今回はリーグワンのレギュラーシーズン終了したので、データと成績から各チームの特色と特徴を比較していきます。詳細は各チームごとにやろうと思うので、今回は12チーム(平均値)との比較メインです。リーチがプレーオフプレスカンファレンスでも語っていましたが、今年は各チーム戦術的特色がかなりはっきりと表れています。(左から右に上位→下位 緑→12チーム平均以上、赤→平均以下)

1位ワイルドナイツは全てのスタッツが高く、DFが強みの前期からアタック面でも大きく進化。特にラインブレイクとオフロード数が異常で、ラインブレイク数2位の神戸と32差、東芝とは53の開きがあります。オフロードパスも同2位の神戸と23、東芝とは約40の開きで、今期のワイルドナイツのアタックの充実ぶりがデータとしても現われています。

次に2位東芝ブレイブルーパスですが、バランス良く全体のスタッツが高く、平均的な能力ではパナと遜色ないレベルです。オールブラックスSOリッチーモウンガと同FLシャノンフリゼルの2人の加入がはやはり大きく全体のスタッツを押し上げています。さらにキャリー数5位ながら平均ゲインメーターは全体2位と強力なFW陣の推進力がかなり高いことがデータからも伺えます。

3位キャノンイーグルスは平均ゲインがプレーオフ4チーム最低にもかかわらずトライ数は4チーム中2位と、個々の強さでは少し劣るも司令塔の田村のゲームコントロールと沢木HCの奇策で効率よく得点を重ねられています

4位サントリーは今季キックからゲームメイクしていることを堀越キャプテンも話していますが、データからもゲインメーターが上位8チーム中最低と明らかにボールを持たない戦略を取っていることがわかります。少し気になるのはトライ数が伸び悩んでいる(全チーム6位)ことで、やりたいことと実際の展開がついてこない今期のサントリーを苦境が垣間見えます。ここはカテC の離脱などもありますがリーグワン全体のレベルが上がり、他チームがサントリーの想定を上回る攻撃力となったことで、安易にボールを手放す戦略が上手くいきにくくなっていると考えられます。

5位神戸スティーラーズの特徴はなんといってもその攻撃力。アタックすべての数値が異常なワイルドナイツに平均ゲインで0.5の差をつけ堂々の12チーム1位です。これにはアーディサベアの加入やSOブリンガットランドの爆発力が差をつけた形です。パス数が上位の中では比較的少なく、一人一人のスキルや強さで前へ進めるのが神戸の真の強さといえるかもしれません。

6位の前年覇者クボタスピアーズですがボールキャリー数が上位8チーム最小と思うように攻めることができていません。これには世界的SOバーナードフォーリーの離脱が大きく、あまり球が回らない現象が起きていたことがわかります(結果としてパス数やオフロードパスも減少)。ただ平均ゲインが4.31と高いことからも個の力はやはり前年王者らしい力強さがあり、あとはそれをうまくリンクさせる司令塔があと一人欲しいところです。

7位はトヨタヴェルブリッツ。こちらはボーデンバレットとアーロンスミスのオールブラックスコンビの加入で大きな話題となりましたが結果は振るいませんでした。スタッツを見ていくとキャリーやゲインメーターが低く、どちらかといえばハーフ団がコントロールしてキック主体で戦っていたことがわかります。ただその結果としてサントリーと同じようにトライ数が伸び悩み(72で7位)ハーフ団の力の割に決定力に欠けたシーズンとなりました。ここは各チームの深堀りでも触れようと思います。

次に8位静岡ブルーレヴスですが、特徴はポゼッション重視のスタイルです。8位と中位にいながらもボールキャリー数はなんとワイルドナイツを抜いて1位ととにかくボールを保持し継続アタックで敵を崩しにかかるような戦略でした。結果それが得点に結びついていないことが今期の課題とも言えますが、全体としてアタックのスタッツは良く、DF突破数も全体2位と素晴らしい成績を残しています。家村選手の離脱が痛かった…。

さてここからは真っ赤に染まった下位4チームですが、お断りしておくのは決してこの4チームが”弱い”、”悪い”わけではないということ。あくまでデータで見た平均値以下というだけでファンの皆さんなら全16節の激闘からもそれはわかる事と思います(スシ丸も全チーム全試合観たうえで話してます)。ですので安易な思い込みを持ってほしくないです。

それでは9位ダイナボアーズからですが、なんといってもボアズの強みは戦いを接戦に持ち込むチーム力です。トライ数が45と11位ながらも全体9位であることからも堅守速攻、取るべき点を確実に取れる底知れぬポテンシャルを秘めたチームだといえるかもしれません。この辺はDF編の方がダイナボアーズはわかりやすくスタッツに表れているのでそちらで触れようかと思います。ただやはりもう少し得点力が欲しいですね!

続いては10位ブラックラムズ。特徴としてはラム丸くんがかわいいことと天性のランナーであるアイザックルーカスを筆頭に爆発力のあるランナーが複数いることです。ただし平均ゲイン数ではほぼ最下位の値なので、中位から上位に挙がっていくには全体としてのフィットネスの底上げが必要でしょう。

11位のホンダヒートはアルゼンチン代表パブロマテーラの離脱などもありアタックは総じて厳しい印象です。ただし、シーズン後半から台頭してきた22歳のSH北条、CTB重と復帰のマテーラ、モスタート、テビタリー、トムバンクスと彼らがリンクした時のアタック力はリーグワンでも上位に通じます。入れ替え戦において相手の脅威となることは間違いないでしょう。北条選手のハイパントは今日本のSHで飛距離と高さにおいて有数だと感じています。ぜひ最終節の彼のキックを観てみてください。

12位となったライナーズですが、特徴としてはアタック力と個の力が非常に高いことがあげられます。実際平均ゲインは3.96と全体6位でクエイドクーパーやセミシマシレワ、サナイラワクァなど優秀なランナーもおり、オフロードパスも全体6位です。惜しむらくはDFの規律面でそのアタックが活かせなかったこと、怪我人もあり思うようにメンバーを組めなかったことでしょうか。ただし規律面は最終節に向けて改善傾向で、ハーフ団のケガでチャンスの巡ってきたSH河村とSO岡村の台頭は嬉しい誤算でした。全体としてフィジカルのDF強度は非常に高く、規律さえ守れればアタック力は申し分ないので、入れ替え戦も十分優位に戦えるでしょう。

以上、データから見たリーグワン12チーム(アタック編)でした!明日DF編をやりますのでまた読みにきてください!ありがとうございました!

リーグワン15節  埼玉ワイルドナイツ vs 近鉄ライナーズ 試合のポイント、注目選手

ラグビーファンの皆さんこんにちは、スシ丸と申します。

今回はリーグワン第15節 花園近鉄ライナーズ 対 埼玉パナソニックワイルドナイツの1戦 3つのポイントからプレビューしていきます。これを読むともっと試合が面白く観れる(かもしれません)

まずは互いの先発メンバーから

◎ワイルドナイツ→ 今季ラストホームゲームとなるワイルドナイツはこの試合で通算200キャップ達成となる堀江がキャプテン。

1/6ぶりの出場となり前回のライナーズ戦でトライも奪った布巻が先発に。ワイルドナイツ初スタメン(初キャップ)の強力なNo8ゼイビアスタワーズに注目です。さらに10番には埼玉の誇るファンタジスタ山沢拓也が弟の京平のFBと共に兄弟で先発。控えの木原、高木も初リザーブに。

余談ですが、、、稲垣坂手ミラーデヤハーボーシェコーネルセンガンター小山ライリーコロインベテ。これ全員今節休みです。層の厚さが凄いですよね。

◎ライナーズ→キャプテン野中は欠場も前節勝利の立役者ともなった9番河村、10番岡村は先発に。強力なFW陣の一人セルホゼも欠場ですが5番サナイラワクァは前回対戦時もかなりワイルドナイツ相手に効いていました。また15番野口大輔はワイルドナイツの先発野口竜司との兄弟対決にも注目です!

次に前回の対戦(第2節)を振り返ります。 

前回の対戦ではワイルドナイツが49-0とライナーズを完封勝利(前半は7-0)

両者強いフィジカルバトルで固いDFを見せた試合でした。

パナソニックは前半エリアマネジメントで優位に立つも、ライナーズの協力なFW陣のDFに苦戦。脳震盪などで前半からFB山沢拓也がHIA、3番藤井も交代し後半も長谷川がケガで交代するアクシデントもあったがライナーズの疲れが出た後半から怒涛の攻めを見せて計8トライを奪い快勝。

ライナーズはFWの強いフィジカルで良いDFからのターンオーバーで前半を接戦に持ち込めたことが好材料でした。一方オーストラリア代表クエイド・クーパーや日本代表マシレワ選手の不在もありフィニッシュ力に課題が出た形。

それを踏まえて、今節の注目ポイントは

①両チームのアタック ②両チームの規律(反則数) ③ラインナウトの攻防 に注目したいと思います。

注目ポイント①両チームのアタック

まずは両チームアタックのデータから

トライボールキャリーゲインメーターラインブレイクオフロードパス
埼玉ワイルドナイツ9518518174152164
近鉄ライナーズ411377544984114
※第14節までのスタッツを基に作成

◎ワイルドナイツ 

・今季リーグワン両カンファレンス得失点差ぶっちぎりの1位(+400)からも、得点力は高く、今節は南ア代表のデアレンデと日本代表のライリーの両センターはお休みですが、12番に元ハリケーンズのヴィンスアソ、13番に日本代表長田と十分に強力です。また10番にファンタジスタ山沢、直近50:22を連発している11番竹山、14番にハイパントの名手野口、15番にロングキッカー山沢弟と日本最高のキッカーがそろい踏みしているのでアタック、またエリアマネジメントでも優位があるとみて間違いないでしょう。

◎ライナーズ

・チームの核となる元オーストラリア代表ゲニア、クーパーら、またフィニッシャーの日本代表のセミシマシレワが不在も、初勝利を飾った前節のスタメンSH河村、後半からチームを指揮したSO岡村が先発で、向井HCも「以前はクーパーがいなければオロオロしていたチームが今は彼無しでも筋の通ったアタックができる」と発言のあったように、しっかりと自力は高まっているように感じます。強力FWとのコンビネーションで鉄壁のワイルドナイツを崩し切れるかが注目です。

注目ポイント②両チームの規律(反則数)

被ペナルティPG(ペナルティゴール)
ワイルドナイツ12321
ライナーズ183

ワイルドナイツ

・ワイルドナイツの特徴として、ラインオフサイドの少なさがあげられます。特にゴール前を除くエリアでは徹底して規律を守ってDFができるチームです。結果相手の反則を誘いやすくPG数もリーグトップです。ただし前回対戦時はライナーズの協力FWに対してブレイクダウンで優位に立てず、反則を逆に奪われてしまい前半7-0と接戦に持ち込まれてしまいました。対策としてキャリアへのサポート人数、また前節トヨタヴェルブリッツ戦でも有効だったSHからの絞らせないアタックを見せてくれると思います。

ライナーズ

・現在被ペナルティ数(ペナルティを犯した回数)がリーグワーストのライナーズは、DFの固いワイルドナイツに対していかに規律を維持して攻められるか、また守れるかがポイントです。アタックについては前節を見ても取りきる力はついてきているので、そこに至るエリアマネジメントを気鋭の9番河村10番岡村がどう運ぶのかが見どころです。一方ワイルドナイツと対照的にDFはラインオフサイドが最も多いチームの1つです。前節も計4回ラインオフサイドを取られています。ここの規律を野中主将不在の中どう維持するのかが試合をものにできるかどうかの分岐点となります。

注目ポイント③ラインナウトの攻防 

ラインナウト成功ラインナウト失敗ラインナウト成功率ラインナウト14節成功率
ワイルドナイツ1802289.1%62.5%(10/16)
ライナーズ1553282.9%95% (19/20)

・3つ目のポイントはズバリラインナウト!データから見ると成功数でも成功率でも上回るワイルドナイツですが、ワイルドナイツは唯一ここが不安点でもあります。実はワイルドナイツは前節トヨタヴェルブリッツ戦でラインナウトを16回中10回成功で成功率62.5%と落ち込んでいます。そして一方のライナーズは20本のラインナウトで失ったのはわずか1回。成功率95%と平均マイボール率が80%とされるラインナウト、しかも雨天の試合でこの成功率は驚異的です。両チーム対戦相手の違いや出場選手も変わりますが、ここはひとつラインナウトの攻防も注目すると面白いと思います。

注目選手はワイルドナイツの20歳、No.8ゼイビアスタワーズ選手とライナーズSO岡村選手です。

ゼイビア選手はNo.8としてライナーズの協力FWに負けないフィジカルに注目です!

そして岡村選手にはトイメンに日本の誇る山沢拓也選手がおり、お互いにどのようなゲームメイクをするのか、マッチアップが楽しみです!

皆さんは今節のどんなところに注目していますか?良ければコメントで教えてください!