どうも、スシ丸です。前回に引き続き今回は各チームのディフェンス&キック編です。まだ読んでない方はこちらから。今回もあくまでリーグワンの平均値との比較ですが、各チームの強みと課題が見えてきました。(左から右に順位順、緑が平均以上、赤が平均以下)
それでは改めて、アタックで圧倒的だった1位のワイルドナイツですが、DFでもそのスタッツは優秀の一言です。アタックの時間が長いのでタックル成功数こそ少ないですが、12チームタックル失敗数最小・12チームタックル成功率1位、被ペナルティ同率11位とシーズンを無敗で飾ったその実力の裏打ちともとれるスタッツです。被ターンオーバーに関してもボールキャリーがリーグワン平均より300回程度多い(2117回)中でこの数値は優秀と言わざるを得ません。唯一の弱点といえるのはトライ後のコンバージョン成功率がリーグ平均以下(成功率8位)であることです。これは松田選手自身の不調もありますが、交代時の山沢拓也、京平、ダミアンデアレンデ等キッカーを複数で回していたことも影響しているかと思います。またインプレーキックが全チーム最多で、その成績を鑑みてもエリアマネジメントではリーグワンNo1であることは間違いないでしょう。
次に2位東芝ですが、タックルに関しては総数が2,331と12チームダントツの1位でこれは東芝のDFが崩れない、粘り強いDFの証左かと思います。一方被ペナルティ(ペナルティを犯した数)はリーグワースト4位で不用意な反則が多いことは気がかりです。実際、リーチも最終節の試合後に主審と(チョークタックル時の)タックルリリースのタイミングを合わせなければならないと語っています。またインプレーキックが12チーム7位ですが、これはSOモウンガのパス能力が高く、他チームよりもパスやランで打開が可能なためキック数が多くない理由となっています。プレーオフでは規律を保ち強みであるFWでいかにブレイクダウンを支配できるかがポイントとなるでしょう。
3位のサントリーですが、被ペナルティはリーグワン2位でかなり規律面は整えられている印象です。また若干22歳のSO高本君のコンバージョン成功率もリーグワン平均以上と最終3位につける実力は確かです。しかしタックル成功率が82%と1位ワイルドナイツと4%の開きがあり、何よりも被ターンオーバー(ターンオーバーされた回数)がリーグワン12チームワーストなことは課題です。その要因はフォローの問題やコンビネーション様々考えられますがアタック編で語ったサントリーのトライ数が伸び悩んだ一因かと思います。ここが改善できるかどうかが東芝との決戦を左右するかと思います。
続いて4位のキャノンイーグルスはターンオーバー(12チーム9位)ペナルティ(同9位)ともに少なくチームの規律、コンビネーション共に安定していることがわかります。またワイルドナイツと同様インプレーキックが453と全体2位で司令塔田村を中心にエリアを優先した戦いを好むことが伺えます。課題はタックル成功率(全体同率10位)とワースト3となってしまったコンバージョン成功率で、2年連続プレーオフの相手となるワイルドナイツとの最終節でもタックル成功率78%(141/180)と次週までにどう改善してくるのか、または逆に奇策に全振りしてアタックでワイルドナイツを攻略していくのか、沢木監督の手腕に注目です。
5位の神戸はアタックに全振りのイメージでしたがタックル成功率はワイルドナイツと同率で12チーム中1位と素晴らしい成績でした。またコンバージョン成功率も79.55%と12チーム1位で今季得点王&ベストキッカーのSOブリンガットランドの力がスタッツに如実に表れています。課題はターンオーバーとペナルティで、特にペナルティはキャプテンのレタリックが記者会見でも何度も改善の必要があると発言していました。アーディ以外のコアメンバーは残ることが決まっているので、ここが改善すれば来年は優勝のダークホースとなる可能性もあります。
6位のクボタは突出した数値はありませんが、リーグワン平均と比べペナルティは少なく(全体5位)規律面では上位でした。一方のコンバージョン成功率はワースト4位とSOバーナードフォーリーの離脱がここにも響いていますね。
7位のトヨタはタックル成功率・被ターンオーバー・被ペナルティの3つ全てが赤色のことからも難しいシーズンだったことが伺えます。インプレーキックが12チーム3位であることからもボーデンバレット中心にきっちりとエリアを確保する戦いが好まれていた印象です。
さて8位の静岡ブルーレヴス、アタック編ではボール保持の傾向があることはお話ししましたが、インプレーキックが286リーグワン最小で、またタックル成功率が81%とリーグワンワーストであることからも意図的にDFの弱みを出さないように戦っていた可能性もあります。絶対的なDFの柱であるクワッガスミスも来期復帰ですが、ここがレヴスが来期飛躍できるかのポイントになりそうです。
次に9位ダイナボアーズですが、下位チームで唯一タックル成功率が84%とリーグワン平均を上回りました。クロスボーダーラグビー期間も徹底して練習させたグレンディレーニーHCの鬼の指導の成果と言えます。課題はターンオーバーとペナルティで来期上位に食い込むためにはここの改革も必須でしょう。https://youtu.be/TVk9czsOf9E?si=BDpnQDXkxyny97svちなみにこちらの動画でディレーニーHCの哲学と思いが語られていますが、私はこれを見てよりダイナボアーズのラグビーが好きになりました。彼がいなければDiv.1のダイナボアーズは無いわけですから、彼を引っ張ってこれたことはダイナボアーズフロントの大きな財産だと思います。
さて話がそれましたが続いて10位ブラックラムズ。タックル総数がリーグワン最小で、これだけでは評価しづらいですが、失点数は下位4チーム最小の503点で比較的DFは良いスタッツです。しかし下位4チーム共通ですが被ペナルティが多いことが課題ですね。入れ替え戦ではDiv.2相手にどこまで規律良くゲームを進められるかがカギとなりそうです。
11位のホンダヒートはタックル総数リーグワン1位で、今期リーグワンで最もDFをしたチームと言えます。アタックの時間が少ないためターンオーバーも少なく、課題はペナルティといかにマイボールの時間を増やすかです。その為には①ペナルティやイージーミスを減らす②相手エリアでプレーすることが大事です。①はわかりやすいですが、②の理由は相手エリアでのプレーは結果自分達の得点か、相手のキックでの脱出で終わりやすいからです。入れ替え戦は一発勝負なので、エリアマネジメントがかなり重要になってきます。
最後に12位ライナーズですが、タックル成功率と被ペナルティがリーグワーストで課題は明らかです。ここの改善のいかんが大一番を優勢に進められるかのカギとなります。最終節に向けて改善傾向はあるので、向井監督の手腕に期待しましょう。
さて、ここからですが、一つ面白いと思った画像を共有します。
こちらは欧州クラブチームのチャンピオンシップ(14試合)におけるドロップゴールの試投数とミス数の一覧を国別に分けたものです。アイルランド所属のチームは0に対して南ア勢は10とかなりの差があります。ここで我らがリーグワンはどうかというと成功数7、試投数はおそらく2倍程度にはなるので、リーグ全体では南アと同程度蹴られていることがわかります。なぜ南アと近い数なんでしょう。南アに近いスタイルのチームが多いから?南ア出身のHCやアタックコーチが多いから?単純にそれだけでは説明できそうにありませんが、もう一つ気になったのはアイルランドのチームがドロップゴール0の理由です。何か戦術的な進化で蹴らなくなっているのであれば面白いですし、今年の夏のテストマッチも注視して何かわかればまた書こうと思います。
以上、データから見る12チームDF編でした。明日12チームのセットピース編(スクラム、ラインナウト)をやります。実はここが1番チームごとの色と意外なスタッツとなっていますのでまたお待ちください!それでは、ありがとうございました!