どうも皆さんこんにちはスシ丸です。今回はエディジャパン初戦となった6月22日のイングランド戦を振り返っていこうと思います。それではよろしくお願いいたします。(スコアは17-52でイングランドの勝利)
まず、前回の注目ポイントでもあげた3つのポイントに基づいて振り返っていき、その後良かった点、悪かった点を見ていきます。
1つ目のポイントであげたスクラムですが、特に先発フロントローの茂原・原田・竹内の3人は下馬評を覆した素晴らしいスクラムでした。前半の8つのスクラムのうち(日本ボールが3、イングランドボール5)被ペナルティ2、ペナルティ獲得2で数字で見てもイーブンの結果です。さらにそのペナルティも、完全に押し負けたスクラムは無く、いずれも押し負けではなくイングランドに引き落とされた、つまり技で負けたようなスクラムでした。力勝負で競っていたからこそイングランドは引いて反則を誘うような技術戦に持って行った形ですね。逆にペナルティ獲得した際は完全にスクラムで押し勝っており、本人たちも試合後に押し勝てると思ったと話しており、日本のフロントローがイングランドに押し勝つ、まさに新しい時代を見ているような気がしました。むしろそこで競っていたからこそイングランドが押し勝つスクラムから落としたり、引いて反則を誘うような技術戦に持っていかれた形でした。余談ですが、竹内選手は入替戦含め今季Div2で12試合の出場でプレータイムは420分、スタメンが6試合、平均タイム40分弱とそれ程多くない中POMを2回受賞、またチームのスクラム成功率はDiv2圧倒的1位の87%(平均79%)でそのスクラムの強さでDiv1昇格の原動力となったことは間違いないでしょう。そんな彼がエディジャパンに選出され、かつ初戦となる日にあのパフォーマンスを見せたことは素晴らしいと思います。
2つ目のキックカウンターですが、ここで日本はぼこぼこにされました。実際先日の日本のバックスリー(WTBとFB)は最高身長が矢崎選手の180㎝とテストマッチで戦うにはかなり小柄でした。どの国にもスピードやパワーを武器にする小柄な部類の選手はいますが(南アのチェスリンコルビ、イタリアのモンテカプッツォなど)、他の2人をハイボールに強いメンバーを置くことが多く、日本の根塚、ジョネ、矢崎の並びはイングランド目線言葉を選ばず言うとカモに見えていたと思います。実際そこにイングランドは前半SHのアレックスミッチェル選手の高弾道のハイパントから何度も再獲得し、チャンスを作っていました。逆に日本は矢崎選手以外の2人がハイボールに競れない、蹴れないので(ここは明確な根塚、ジョネ両選手の課題です)SOの李承信選手がキック処理に下がり、ハイボール処理も行っていました。ここで考えていただきたいのですが、日本のハイテンポな攻めでこの試合SOはかなりの距離を走り、判断しまたアタックを仕掛けていました。そんな中キックの競り合いも行き、その後のアタックも組み立てる。かなり負担が大きい事がわかりますよね。ただしキック処理関係はバックスリーの経験値、成熟度合いがもろに出る部分なのでこれから彼らがエディの元成長してくれればと思います。目指せ福岡堅樹選手or山中亮平選手です。
次に3つ目にポイントとして挙げたアンストラクチャーですが、こちらは素晴らしかったです。日本がイングランドから奪った2トライはどちらもアンストラクチャー(陣形が整っていない状況)で、1つ目はラインナウトから山本凱選手がラインブレイクした後松田、ディアンズと繋ぎ根塚がフィニッシュ。トライを奪った根塚選手もですが、松田、ディアンズ選手のランコースとパスのタイミングが素晴らしかったです。2つ目のトライはプレッシャーを受けた松田選手がディアンズにパスしたほぼパスミスのボールをディアンズの長い手が回収しラインブレイク。何より素晴らしかったのはラインブレイク後(中)の山沢選手の反応でした。一瞬で加速し追いつくとフォローコース、コミュニケーションも完璧でまさにアンストラクチャーからのトライの取り方、チャンスの掴み方としては最高のトライでした。どちらのトライもフェーズ(ラック)を重ねずスパっと取りきっており、超速ラグビーにおける反応の速度が高く良かったといえるでしょう。
さて3つのポイントから見てきましたが、そのほか良かった点、課題点も見ていきましょう!
まず観ていて一番「ああ、凄いな日本」と思ったのが、ラインナウトの獲得率です。おそらくここまで安定してティア1相手にラインナウトができたのは初めてではないでしょうか。原田の安定したスローイングにディアンズ、ワクァ、リーチ、コストリーの圧倒的な身長とウイングスパンで観ていて正直イングランドはほとんどのラインナウトで競ってきていなかったように感じました。実際競っていた場面もあったかもしれませんが、それを感じさせない安定感でしたね。イングランド含めたFWの最高身長は上からディアンズ→ワクァらしいです。最高ですね(笑)
次に感じたことですが、まず全体として”日本のDFが弱すぎる”という意見が試合後散見されました。結論から言うと、しゃーないです。それ以外ありません。嘆きたい気持ちはわかりますが合宿中から怪我人も4人出て当日もライリーが欠場で急遽入ったトゥア選手が出場と難しい状況でしたし、何よりまだ始動2週間です。昨年のメンバーもほとんどいない若手主体のメンバー構成というのもありますし、個人、また組織ディフェンスは両方構築に最も時間がかかります。それはエディも以前「日本と世界のトップの一番の隔たりはディフェンス力。最も時間がかかるのでそこから取り掛かり始めようと考えている」と話していますし、相手は昨年のワールドカップ3位です。自分なら2週間でエディ以上にチームをまとめつつアタックもあのレベルでまとめつつセットピースも完成させ、ディフェンスをうまく仕上げられて批判されないレベルに持っていける、もっと言うと具体的にこうしたらよかったと指摘できる方はリプライください。そのディフェンス理論教えてほしいです。あまりの批判の多さに中の人は思ってました。素直に応援しようや!!!って。余談は以上です(笑)
本題に戻ると、エディのやりたいテンポの速いラグビーは見えましたが、一方足りない部分も見えてきました。具体的には一次攻撃後のアタックにおいてバックスのアタックラインが1列(ダブルラインが引けていない、スイベルパス(後ろ方向へのパス)が前半ほとんどない)ことで相手が的を絞りやすく、また攻撃のバラエティも足りていないように感じました。ここは李選手が今後引き出しを増やすこと、FWとBKの連携を高めていくことで解消していくかと思います。後はラインナウトからマーカススミスにトライを取られたシーンは完全に反応が遅れて後手の対応になっていましたし、後半の自陣敵ラインナウトでイングランドが遅延行為した際、審判が遅延行為で日本ボールにしてくれたのですが、その反応もまだまだ”超速”の域には至っておらず、反応、判断の速さはもう一段上げられるなと感じました。その点、カメラには抜かれていなかったのですが、後半山沢と松田がトライを取られた後クイックスタートで始めようと試みていた事は良い判断で目指すべき一つの形だと思います。
次にイングランドですが、様々ありますが1点だけ、ボールキャリアに対して走りこむプレーヤー(ボールをもらう側)のスピード、力強さがえぐかったです。日本は接点での力勝負というよりも事前の走り込みのスピード差で食い込まれていたように思います。イングランドが毎年6Nationsでしのぎを削っているその経験値が出ているようで、素直に素晴らしかった。
最後に諸々ですが、キックカウンターの部分で書いた通り、李選手はキック処理含めて使われすぎなことが懸念です。ただ彼のムーブアタック、飛ばしパスの判断などは素晴らしかったです。長田選手はライリーの急遽欠場もあり連携もへったくれもなくなった両CTBの状況で奮闘していました。次戦ではステップワークを活かしたランが観たいですね。またライリー不在によりアウトサイドセンターからのキックも選択肢としてなくなったこともかなり痛かったです。ポジティブな部分としては根塚選手の体幹の強さを活かしたキャリーやジョネの破壊力はイングランド相手でも通用した事、矢崎選手は積極的なランもあり経験が積めたことは大きなプラス要素でした。矢崎選手はリーグワンすら、プロレベルすら経験していない中で世界3位との対戦ですからね。あのパフォーマンスは誇っていいと思います。
以上です。ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!次回は週末のJAPAN XVとマオリオールブラックス戦ですね、今回よりさらに若手のメンバーになることは間違いないと思います。楽しみましょう!小山選手出てくれー!