どうも皆さんこんにちは、スシ丸です。いよいよ明後日に迫ったイングランド戦、メンバー発表もあり期待も高まっているかと思います。そこで今回は試合の予想も交えつつ、いざ観戦するときにどこを見ればもっと楽しいか、誰がどんなプレーで魅せてくれるのか語っていこうと思います。
まず前提知識として、今の日本の世界ランキングは12位(74.27ポイント)で対するイングランドは5位(85.75ポイント)と大きく差があります。さらに直近のラグビーフランスワールドカップでは日本は予選敗退に対してイングランドは3位、その後の欧州最強を決めるシックスネーションズでも優勝したアイルランドを破る金星を挙げています。今回代表メンバーの総キャップ数は、日本は169(うちリーチ84)でイングランドは522、圧倒的な経験値の差もあります。決してなめ腐っていい相手ではなく、楽観できる相手でもありません。ではこの前提のもと試合の注目ポイントを見ていきましょう!
この試合のポイントは3つです。1つ目はスクラム。2つ目はキックカウンター。3つ目はアンストラクチャーです。順番に見ていきましょう。
まず1つ目のスクラムについて。イングランドは伝統的にセットピース(スクラム、ラインナウト)が強力で、本国の雨が多い気候もあり、スクラムからペナルティ奪取→PGで3点を積み重ねて勝つスタイルが象徴的です。実際スタメンのフロントロー3人の総キャップ数は217とこの3人だけで(実際はジェイミージョージとダンコールの2人で212キャップ)日本代表全員の総キャップ数を上回り、つまりそれだけ経験値も、実力も高いフロントローがそろっています。
そんな中戦う日本のフロントローは茂原、原田、竹内の26歳、25歳、24歳と若い3人です。茂原はリーグワンでも屈指のスクラムを誇る静岡ブルーレヴスのコーチ陣において、「今一番うちで強いスクラムが組める」と言わしめた逸材です。原田は東芝においてそのスクラム、ラン、パスどれをとっても高水準に遂行でき、ラインナウトも安定している今最も勢いのあるHOです。さらに竹内は元No8でランもパスもできる万能なプロップ、トライアウトを受ける日に初めてプロップを試してみたという逸話がある強心臓、かつ急成長中の26歳です。ここまででお分かりの通り、スクラムが通用するか?と言われると難しいだろうというのがスシ丸の意見です。しかし、そこはこれから経験を積めばいいところ。むしろ彼らのラン、パス、タックル、ヒット(もしかしたらキック)に注目してもらえれば面白いと思います。
次にバックローですが、ここは福井とガンターが負傷離脱した影響もあり、リーチとコストリーが6,7番に。タタフの合流の遅れもあり8番はマキシになりましたね。これ、大事なところなんですが、4~7番まで全員ラインナウトのジャンパーできるんです!身長的にもここは相手に大きくプレッシャーをかけられるところだと思います。
一人一人見ていくと、4番近鉄ライナーズのワクァは独特のボールキャリーと長いウィングスパンで強烈なアタック力がありますし、若干22歳のワーナーは強いボールキャリーに加えてその圧倒的な体躯を活かしたチョークタックルは彼唯一の武器です。リーチは言わずもがな、34歳ながら肉体のキレ、フィットネスは衰え知らずで日本の支柱です。7番のコストリーは23歳、今季神戸スティーラーズにおいてアーディと共にシーズンを戦い抜いたディアンズと共に日本の若き逸材です。ハードワークでチームに貢献する彼はきっと日本のこれからの力になります。最後にNo8のファウルアマキシですが、彼は重量級FWの揃うクボタにおいてスクラム最後方を張り続けた27歳。持ち前のパワフルなキャリーがイングランドにどこまで通用するか、またDF面でどこまで前に出て止め続けられるか、同じNo8のタタフが強力なライバルである以上、ここが彼が今後定着するためには必須でしょう。
まとめるとスクラムは劣勢になるかと思います。よって敵ボールのスクラムの数を減らす、また可能な限りラインナウトを増やす(ようなキックを蹴る)ことが重要になってきます。ラインナウトの競り合いでは優勢に立てるので、可能な限り競って、モール勝負に持ち込ませないことが重要です(イングランドはモールも強力)。とにかく相手より立って、良い判断をして、味方と連動して相手のギャップ、ラックサイドを立て続けに突破しバックスのスペースを広げる。またゴール前は味方と連携しつつ、勇気を持ってキャリーしトライを取りに行く。この2つが今回日本代表のFW陣ができればFW戦を5分に戦いを持ち込めるはずです。
2つ目のポイント、キックカウンターですがこちらもイングランドは伝統的にハイボールに強く、エリアマネジメントを強く意識した戦い方を得意とするチームですので、いかにエリアマネジメントでしんどい戦いをしないかがポイントです。ここで簡単に”負けない”としなかったのは現実的にキックによるエリアマネジメント単体の比較で日本がイングランドに勝てるか?おそらく難しいからです。今回は神戸スティーラーズの山中選手や山沢拓也選手のようなキックの得意なメンバーがバックスリーにいません。そんな中相手は毎年シックスネーションズ及び南アフリカを含む欧州リーグで早くから鎬を削ってきた猛者たち。日本が目指すべき”しんどくない戦い方”はペナルティを徹底的に排除すること、そこにつきます。単純にハイパントなどで15~30m前進されても1本のペナルティで挽回可能です。よってキックカウンターにどこまで日本のメンバーがアラート高く連携して守れるかが一つ、また今回スタメンSH,SOに抜擢された齋藤選手、李承信選手がチームをコントロールし、キックにせよアタックにせよ単純に焦ってテンポが速いだけでない、良い速さがある”速い”ラグビーを展開することがかなり重要です。
BKそれぞれに注目すると、まず9番に抜擢された齋藤選手、本人も速いテンポのラグビーや代表経験もあるので、サントリーで培った”アグレッシブアタッキングラグビー”を体現してBK全体を良い方向にリードしてほしいですね。SOには松田選手ではなく李承信選手、ここは皆さんもびっくりされた方も多いでしょう。エディの意図としては自身でも仕掛けることが可能で、松田選手よりも動きながらのアタックが得意、かつまだ年齢も若い、このあたりを加味した結果のスタメンでしょう。菅平合宿からエディのラグビーを吸収していたのも大きいかもしれませんね。
次に両CTBですが、ここがイングランド相手に1番戦えるポジションです。断言できます。長田選手にはその体幹の強さ、ステップのキレ、正確な判断で期待しかないですが、プレーが安定している分チャンスの場面ではもう一つ自身の役割にとらわれない、殻の破ったプレーを期待したいと思います。またリーグワンのベスト15にも輝いた13番ディラン・ライリー選手はその圧倒的なスピードとキック、正確なオフロードパスでイングランド代表を切り裂けるポテンシャルは十分です。というか停滞した状態から単独でラインブレイク可能なのは彼とジョネの2人なので彼らがいかにプレッシャーの少ない状況でボールを受けられるか(彼らがボールを持つタイミングで彼らの前にスペースが空いた状態を作り出せているか)がカギになります。
最後にバックスリーですが、まずはジョネですね。圧倒的な加速、フィジカルでリーグワンの強敵を跳ね飛ばしてきた彼に良い球を供給さえできればゲインは確実にできます。またリーグワン決勝で魅せたようにチャンスへの嗅覚も高く、セルフィッシュなプレーも少ない本当にレベルの高いプレーヤーだと思います。ここで世界に彼の名前を響かせてほしい!そしてもう一人初キャップでスタメンに抜擢されたクボタ所属の根塚選手。2年前のクボタ優勝の立役者と言っても過言ではない彼ですが、持ち味はそのスピードと体幹の強さ。小柄ながら倒れない彼のプレーはイングランドに通じる部分はあるので、あとは持ち味を出せるか、持ち味を出すように積極的にプレーができるかがポイントですね。
そしてなんといっても未完の大器、早稲田大学2年の矢崎選手。彼はポテンシャルがプロレベルなのはエディも認めるところ。あとは周りのサポートを受けながらどこまでイングランドに戦えるか。確実にイングランドはここは狙ってくると思います。ポジショニング、ハイボールキャッチ、その後のヒット、ボール処理までプレッシャーをかけてくるのは間違いないので、逆に委縮せず冷静かつ大胆にプレーして良い意味で私たちを驚かせてほしいです。その為にはハイボールで受けるのではなく、少しでも前方にスペースがあればランで勝負する、そこで裏にスペースがあればキックでエリアを取る。そういった積極性を出して経験の無さを打ち消すようなプレーを出せば彼の良さも出てくるかと思います。
まとめると、ポイントとなるキックカウンターではBK3の判断の速さが求められます。3人それぞれ明確な強みがあるので、それを出すのか、出さないのか1プレー1プレーでの判断が非常に重要です。もちろんそれは1人で判断するのではなく、バックスリー全体、また李や長田、ライリーと連携して最適な判断をしていくことができれば私たちが期待する”超速”ラグビーが見れ、イングランド代表に一泡ふかすことも可能だと思います。最後に、基本は3人ともキックを長所とするわけではないので、単純なエリア勝負にもちこませないこと、またハイボール処理では味方がエスコートをしっかりかけることで全員でサポートができるかがポイントになりそうです。
3つ目のポイント、アンストラクチャーですが、これを入れたのには宮崎合宿で行っていた練習が関係しています。紅白戦や実戦形式の練習において、とにかくエディはボールを止めず選手にプレーさせ続けました。自然選手は攻守の切り替えのアンストラクチャーにかなり順応は進んでいると思います。きちっとDFがそろった状態からの打開ではなく、FW、BK入り乱れたアンストラクチャーの状態であれば全員の判断速く外やギャップを突き、イングランドからトライを奪うこともできます。今の若いメンバーたちでも可能です。私はエディのいう”超速ラグビー”の完成形はアンストラクチャーでのアタック及びDFの最適化が必須だと思っています。攻守が切り替わったタイミングでの適切な判断をそれぞれが相手より2歩早く行い、先手を取って仕掛ける。これが可能になれば目標である2027年ワールドカップTOP4も見えてくると思います(もちろんセットピースの強化は大前提ですが)。イングランド戦でもアンストラクチャーにおいて速い判断から日本の良いアタックが展開されること、これが勝利にはキーになってきます。
最後になりますが、1番大切なのは私たちが若く、未来ある彼らを応援することだと思っています。予定の空いている方はぜひ現地で私たちの代表を応援しましょう!ダイナミックプライシングのおかげでチケット安くなっているようですよ。いけない方もテレビで応援しましょう。まだ25歳そこそこの彼らが国を背負って戦うその初戦です。期待と不安入り混じるのは仕方がないですが、私たちが応援せずに誰が応援するんですかって話です。どんな状況でも最後まで戦う彼らを応援しましょう。私も当日は国立で応援します。現地の方は一緒に楽しみましょう!
ここまで読んでくださりありがとうございます!次は試合後のレビューになるかと思います。それではまた!